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皆さんお蕎麦と言えばどんな色を思い浮かべますか?
一般的には茶色っぽいグレーの細長い麺だと思いますが、それ以外に大きく分けて白、緑、濃いグレーの全部で4タイプがあるのはご存知でしょうか?
蕎麦には4系統あり、『砂場系』『更科系』『藪(やぶ)系』そして『出雲系』となります。そう聞くとお店の名前や看板でご覧になった事がある方もいらっしゃると思います。4系統がそれぞれどのように違うのかと申しますと、蕎麦の実を割って製粉してどの部分の粉を使うかで分かれます。
蕎麦の実を割ると中心部分から真っ白な粉が出てきます。これは「花粉(はなこ)」と呼ばれる物で、蕎麦を打つ時に〈打ち粉〉として使いますが蕎麦にはなりません。どう言うことかと言いますと、水を加えて練ってもつながらない粉なんです。
この「花粉」のすぐ外側の部分の白い粉を「更科粉(さらしなこ)」と言います。お気付きになりましたか?そうです。この「更科粉」だけで打ったお蕎麦が「更科蕎麦」です。別名「御前蕎麦」とも呼ばれ、真っ白で上品なお蕎麦です。その特徴は色が白い以外に、他の系統に比べてツルツルしていて蕎麦の香りは少な目です。
蕎麦の実は内側から外に向かって色が濃くなって粘りと香りが強くなります。何段階に分けるかは製粉屋さんによって違うと思いますが、内側から順番に「更科粉」、「一番粉」、「二番粉」、「三番粉」、「末粉」と呼ばれます。
『砂場系』の蕎麦は「一番粉」~「三番粉」をお店によって割合を変えてミックスした粉で打たれます。食感はややザラっとして蕎麦の香りも強くなります。
「一番粉」から「末粉」までを全て一緒にして打った蕎麦が『出雲系』です。モチモチした食感で蕎麦の香りも強く力強さを感じます。
最後に『藪系』の蕎麦ですが、こちらは比較的白い粉にほうれん草などの色素だけを入れて打ちます。蕎麦粉は新蕎麦の時期は若干青みがかっており、この色を年中出すように考案されたのが『藪系』のお蕎麦です。
日本で最初に蕎麦屋ができたのは意外なことに大阪で、豊臣秀吉の大阪城築城の折、防火用の砂置き場の横に有ったとされています。
現在東京に「砂場」と言う屋号のお店がいくつか有りますが、その本家のご主人が「うちは元々大阪から出て来ました」とおっしゃってました。実際に大阪の中心部の公園に「ここに砂場ありき」と書かれた石碑が建っています。
商売として蕎麦を提供したのが大阪に有った砂場かも知れませんが、それ以前に家で蕎麦を打って食べられていたとすれば、『出雲系』のような気もしますよね。
蕎麦好きな方は大勢おられると思いますが、それぞれの好みが分かれる事と思います。喉越し重視なのか香り重視なのか、それとも色目なのか—。
それぞれにそれぞれの特徴があって自分好みのお蕎麦を召し上がっていただくのが何よりかと思います。一箇所で全ての種類を試すことは難しいと思いますが、色々な地方で色々なお店に行って食べ比べてみるのも楽しいかも知れませんね。
どの系統の蕎麦を食べるにせよ、生蕎麦をゆがいて食べるなら共通するワンポイントが有りますので最後にこれをご紹介します。
まず蕎麦を湯がくお湯は、出来るだけ大きなお鍋にたっぷり用意してください。最低でも2リットルは必要です。もし2リットルが目一杯であれば一度に湯がける蕎麦の量は生の状態で100g が限界です。ガス(もしくは電気)の火力も強いに越した事はありません。一般家庭のコンロでは2リットルの水を完全に沸騰させるのが精一杯かと思います。
蕎麦粉は大変水溶性が高く、ぬるいお湯に入れると溶けてしまったりほぐれずに団子になったりします。美味しく蕎麦を湯がくには、お湯の温度が蕎麦を入れても極端に下がらない事がとても重要です。しっかり沸騰したお湯に蕎麦を入れたら、やさしく箸でほぐしてください。一度ほぐれた蕎麦がくっつく事はありませんので掻き回し続ける必要はありません。
湯がき加減ですが、これがなかなか厄介なんです。乾麺の場合はたいてい湯がき時間の目安が書かれています。これが生麺となると蕎麦を打った時の水加減や打った後の保存状況によって変わります。私が湯がく場合には、蕎麦がお湯の対流に沿ってなめらかに踊るようになる事がひとつの目安です。そこで、ひと筋の蕎麦を箸ですくって指で潰してみてください。中に白く粉っぽい物が有 ればもう少しお待ちください。この白い部分が消えた瞬間にお湯から上げて冷水に落とすのが理想です。「まだ少し堅めかな」と思っても冷水に落とす事で芯が完全に消えます。
冷水に落としてからも大切です。すぐにジャバジャバと手で洗ってはいけません。最初に蕎麦を湯から落とした冷水は速やかに捨てて新しい冷水を注ぎます。蕎麦が完全に締まるまで繰り返します。冬場でしたら水道水の温度で十分だと思います。蕎麦が締まったかどうかは、最初にお湯から冷水に落とした時の麺の触感はまだソフトですが、締まるにつれてコリっとして来ますので、そこまで来たらOK。蕎麦が完全に締まったら、流水で蕎麦についた打ち粉を洗い流してざるに上げてください。
ざる蕎麦やおろし蕎麦などの冷たい物なら、そのまましっかりと水気を切ってお召し上がりください。天ぷら蕎麦やきつね蕎麦の場合は、1人分をカゴに入れてもう一度熱湯にサッと浸けてしっかりとお湯を切り熱々の出しをかけてお召し上がりください。
これを読んでいたらなんだかめちゃくちゃ邪魔くさそうに聞こえますが、慣れてしまえばそうでもありませんよ。
今年の大晦日には、あなたのお好きな系統のお蕎麦をバッチリ湯がいて、良いお正月をお迎えください。
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